幕末オオカミ



耳をすませると、部屋の隅から微かな呼吸の音が聞こえた。



「……っ、…ぁ、は、あ……」


「総司っ?」



その呼吸は、だんだん荒くなっていく。


そちらへ近づくと、浪士の遺体の影で、大きな背中が上下しているのがわかった。


その羽織は、間違いなく浅葱色の隊服だ。


倒れていて、見えなかったんだ。


ドクンドクンと、一気に心臓が痛みはじめる。


狼化したの?それとも単に、敵に斬られたの?


たずねなくてはいけないのに、何故か体も口も動かない。




「ぐ……」



総司はゆっくりと体を起こす。


あたしは、そこで見た。


牙の生えた口元が、血で汚れているのを──。



「ぐぅ、ぁぅ……」



荒い息をしながら、狼化した姿の総司は、両手をつき、片膝を立てた。

そして……。








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