幕末オオカミ


金色に光る目で、ぎろりとあたしをにらみつけた。


いや、正しくはあたしの背後を……



「う、あ、ぁ……」



恐怖に震えた声が聞こえ、そちらをふりむく。


そこには、今倒れていたと思っていた浪士が、刀をかまえて立っていた。



「ぐあぁぁぁぁっ!!」



その姿を認めるやいなや、総司は言葉にならない咆哮を上げ……


座っていた格好から、足で畳を蹴り、あたしの頭上へ舞い上がる!



「…………!!」



一瞬のことだった。


総司の鋭い爪が浪士の首を掻き切り、その血が壁に線模様を描いた。


刀を持っていないということは、完全に狼と化してしまっている。


このままじゃいけない……!



「総司、伏せっ!!」



あたしはお札を取り出し、総司の背中に投げつける。


しかしそれは、効力を発する事はなかった。





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