幕末オオカミ


「総司……わかる?あたし、だよ……」



話しかけるが、総司は人間に戻る気配がない。


あたしをにらみつけたまま、ふらりと立ち上がったその背は、丸まったままだった。


そして……



「がうぅっ!!」



もう、あたしも獲物にしか見えていないのだろう。


総司は、血に濡れた爪を光らせ、こちらに向かってくる。



「……っ!!」



それに引き裂かれる寸前、紙一重で後にひく。


総司が体勢を崩した瞬間、またお札を取り出そうとして……


油断、した。



「ぐわうっ!!」



総司は人間とは思えない体のばねを使い、跳躍した!



「うわっ……!!」



大きな影が目前に迫ったと思った時には、もう遅かった。


あたしは総司に押し倒され、血まみれの畳にはり付けられてしまったんだ。

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