幕末オオカミ


良かった。


皆、生きてる。


傷を負いながらも、前と変わらずに笑ってる。


突然、そんなことがどうしようもなく愛しく思えて。


あたしは少し、泣いてしまった。



もちろん、一人の死傷者も出なかったわけじゃない。


裏口を守っていた隊士ら、三人が犠牲になった。


その人たちを偲びながら、皆が笑って、酒を飲む。


あいつ、がんばったよなー、なんて言って。


皆が、今自分が生きていることに感謝していた。



「おい、総司と小娘」



やがて宴会もお開きになり、誰もがぐでんぐでんに酔っ払い、籠に乗って屯所へ帰っていく。


それを見送りながら、土方副長が寄ってきた。


しかもどこか、にやにやしている。


この人が自分から来る時は、ロクなことがない。




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