幕末オオカミ


あたしは、池田屋でのことを、正直に話した。


陽炎に言われた、あたしの血のことも。



「じゃあ、お前の血を飲んで、俺は助かったってことか……」



総司は微妙な表情でうなずいた。



「それじゃ、上様も欲しがるわけだ」


「大奥に帰れって言うんじゃないでしょうね?」


「言わねぇよ、今更」



総司は苦笑すると、そっとあたしの肩を抱き寄せる。



「悪かった……怖い思いさせて。
お前に噛みつくなんて、心底俺はどうしようもねぇな」


「……ううん……
体が限界超えてたんだもん、しょうがないよ……」



総司の意思でやったわけじゃない。


獣の生存本能が、そうさせただけだもの。


って、相手が総司だから言えるのかもしれないけど。


陽炎が言っていた、『あいつは楓を傷つける』とは、きっとそういうこと。


総司に限界が訪れた時、あたしでさえ攻撃されることを、きっと陽炎は見抜いていて、心配してくれたんだ。


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