恋猫

 「ああ、淳ノ介さま」


 「淳ノ介さま、お慕いしております」


 美化の目も気にせず、鈴は文に口付けをした。


 (まあ、せいぜい楽しんどきな。泳がせているのも、後わずかだからね。後もう少しすれば、ぶくぶくぶくと一巻の終わりだからね)


 鈴が喜び浮かれている姿を見て、美化は大いに白けていた。

 「美化、ありがとう。ありがとう。ありがとう。ほら、この通りよ」

 鈴は美化に向って一心に両手を合わせた。

 「美化、何か欲しい物は無い。お礼に好きな物を上げるから」

 鈴は上機嫌で美化に囁いた。


 (欲しいもの?欲しいものは、ただひとつ。てめえの命だよ)


 (しかるべく時になったら、必ず、必ず頂くからな。それまで、首でも洗って、せいぜいはしゃいときな。美化さまを甘く見るんじゃないよ。その命、必ず、頂くからね)


 美化は鈴を見て不気味な笑みを浮かべていた。
 鈴は淳ノ介の事で頭がいっぱいで、美化が何を考えているのか、全く知る由も無かった。






 
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