恋猫
こんな事があって以来、二兵衛は、東町奉行所の同心 大友尚八郎に大金を渡し、鈴の警護を依頼していた。
大友尚八郎は、金の魅力もあり、仕事の合間を縫って快く鈴の警護を引き受けていた。
女中が番屋に着くと、都合の良い事に仕事は暇で、大友尚八郎は番屋で大きなあくびをしていた。
女中から用件を聞くと、尚八郎は岡引の銀次を引き連れて、鈴を探しに大社神社のある方向に足を向けた。
「路地にも目を通すんだぜ」
尚八郎は篠の殺害の一件から、路地が妙に気に掛かるようになっていた。
「わかりやした」
銀次が二つ返事で了承した。
尚八郎が二つ目の路地を覗き込んだ。
桶の横手に何か着物のようなものが、ちらっと見えている。