恋猫
銀次が大慌てで『越後屋』に到着した。
「た、大変だ。主を呼んでくれねえか。それから、水を一杯くれねえか」
銀次が奉公人の一人を捕まえて早口で言った。
奉公人は大急ぎで母屋に行き、主人にこの事を伝え、その足で女中に銀次の為の水を依頼した。
女中が大急ぎで銀次に水を持って来た。
「ありがとうよ」
銀次が女中に礼を言った。
ごくんごくんごくん。
銀次がひと息で湯飲みの水を飲み干した。
そこへ、店主の二兵衛が店先に現れた。
「親分、そんなに慌てて、いったい何のご用ですか」
二兵衛が落ち着き払って言った。