恋猫

 「じ、実は、鈴さまが死体で発見されまして・・・」


 銀次が大慌てで言った。


 「何をお戯れを。鈴が死体で発見された。夢でも見たんと違いますかな。鈴は今しがた、無事帰って参りました。今まで私の横に座っておりましたから、間違いはありません」


 「えええっ、鈴さまが部屋におられる。そんな馬鹿な」


 銀次は腰を抜かさんばかりに驚いた。


 「嘘や思たら、呼んで参りましょうか」
 「お願いします」


 そう言うと、二兵衛が含み笑いをしながら母屋に消えて行った。
 暫くすると、二兵衛は鈴と手を繋ぎ上機嫌で現れた。


 「あっ、鈴さま」


 顔は鈴に瓜二つ。ただ、首筋の獣に噛まれた傷は、跡形も無く消えている。


 「鈴さま、誠に申し訳ありませんが、着物を捲くり上げて、少し腕を見せてもらえませんか」

 銀次が鈴に言った。


 「腕をですか」


 化身した鈴が、着物を捲くって腕を見せた。







 
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