恋猫

 (チェっ、もう岡引が来てやがる。早過ぎるじゃないか。くそっ!)


 美化が何も無かったような平然とした顔をした。


 「腕にも引っ掻き傷は無いか。鈴さま、ありがとうございます」


 腕にも獣に引っ掻かれたような傷は無い。


 (可笑しい。可笑し過ぎる)


 銀次が心の中で首を傾げた。

 「鈴さまには、双子の姉妹はおられないのですか」

 念の為に、銀次がさらに鋭い質問をした。

 「馬鹿らしい。そんな者いる訳無いじゃないですか」

 二兵衛が堪り兼ねて口を挟んだ。


 「すみません。死体の娘さんが余りにも良く似ているもんで。これもお調べです。気を悪くなされずに。分かりました。あっしは、これで失礼致します。誠にありがとうございました」


 二人に丁重に礼をして銀次は暖簾を潜り外に出た。






 
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