恋猫

 (可笑しい。死んだ筈の娘が、生きているなんて・・・。死体の致命傷は、喉もとの噛み裂かれた傷。・・・まさか、獣か、妖怪が、化けた姿では・・・)


 (ああ、怖ろしいや。怖ろしいや。一刻も早く大友さまに。この事をお伝えしなくては・・・)


 銀次はそう考えると、一目散に鈴の殺害現場へと駆け出した。
 銀次が鈴の殺害現場に到着した。


 尚八郎は、死体の近くで足跡を調べていた。


 「大友さま、びっくりする事が起こりましたぜ」


 現場に到着するや否や、銀次が尚八郎に先ほど見た事を語り始めた。


 「『越後屋』には、何と鈴がおりやしたで」
 「ええっ、何だと・・・」


 尚八郎が獣の足跡以上に、銀次の言葉に興味を持った。






< 125 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop