恋猫
 
 「詳しく話してみろぃ」


 尚八郎が銀次に詳しい説明を求めた。


 「あっしいが鈴の死体が見つかったと言うと、二兵衛が鈴はすでに帰っていると言いやがるで・・・」


 銀次が、『越後屋』での会話を思い出して尚八郎に話した。


 「その鈴とやらを確認したのか」
 「勿論、確認いたしやった。それが、店先に出て来たのは、正真正銘の鈴なんでさ~。可笑しい。それで、首もとの噛み傷と、腕の引っ掻き傷を調べました所・・・」


 「どうだったんだ」
 「それが、どちらも無いんでございますよ」


 「傷は無いとな。あれだけの傷、消える道理が無い」


 尚八郎が考えながら腕組をした。


 「それが、無いんでございますよ。それで、鈴には双子の姉妹はいないか聞いた所、絶対にいないと馬鹿にされたような話で・・・」


 銀次が照れ隠しの笑みを浮かべた。







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