恋猫
「誠に不思議な話ではないか」
「それで、あっしが推理をしたんですが。鈴は死体でここに間違いなく横たわっている。と、いうことは、『越後屋』にいる鈴は、獣か、妖怪の生まれ変わりではないかと、思うのですが・・・」
銀次は、尚八郎の反応を凝視していた。
「拙者の推理も全く同じ。『越後屋』にいた鈴は、猫か、狐か、何か別のものが化身したものではないかと、推理していた所であったわ。奇遇じゃのう」
銀次と、尚八郎が、同じでないか、と顔を見合わせた。
馬鹿げた推理と笑われるのではないかと、銀次は思っていたので、尚八郎の反応は、予想外だった。
「こうなれば、『越後屋』の鈴を徹底的に尾行いたそう。妖怪め。必ずや、尻尾を出すことであろう。拙者が、必ずや化けの皮をひん剥いてやる。覚悟いたせ」
尚八郎が自信たっぷりに気勢を上げた。
尚八郎と銀次の二人は、死体の検分を終え、番屋に引き上げて行った。