恋猫

 あくる日の午後。


 尚八郎と銀次の二人は、『越後屋』から少し離れた物陰で、鈴を見張っていた。


 化身した鈴は、岡引が嗅ぎ回っているので、速やかに目的を達成しなければならない、と考えていた。


 昼過ぎ。
 鈴が動いた。


 鈴は店から通りへと出ると、一目散で淳ノ介の屋敷へと向った。


 「やっと、動いたぜ」


 銀次がふっと溜息を付いた。


 「誠に良く似ておる」


 「まさに、瓜二つだ」


 尚八郎は、『越後屋』の暖簾越しに鈴の顔を見た時、確かにそう感じた。







 
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