恋猫
尚八郎と銀次の二人は、化身した鈴の後を少し歩いては物陰に隠れ、隠れては、また後を用心深くつけていた。
鈴は楓家の屋敷に向っていた。
(もしや、楓家の屋敷に行くのじゃあるまいな)
尚八郎は、ここから楓家の屋敷が近い事に気付き、ふっとそんな予感がした。
尚八郎の予感は当たっていた。
何と、鈴は楓家の屋敷の門を入って行った。
「また、楓家じゃないか」
「どうして楓家なんだ」
尚八郎が小さな声で呟いた。
「前の事件といい、今回の事件といい、獣が絡むと決まって楓家が係わりを持っている。楓家と獣。いったいどういう係わりがあるというのだ」
尚八郎が、鈴の後ろ姿に目をやりながら首を捻った。