恋猫
「そう言えば、楓家には三匹の猫がいたっけ。あのうちのどれかが、鈴に化けているとしたら・・・。それなら、つじつまは合う。でも、あの三匹のうちの一匹が。まさか・・・」
尚八郎は推理の糸を手繰り寄せていた。
鈴が屋敷の中に向って声を掛けた。
「ごめんくださいまし」
「ごめんくださいまし」
声が聞こえたのか、中から淳ノ介が出て来た。
二人は玄関で少し談笑し、中に入って行った。
尚八郎と銀次は、二人が屋敷に消えるのを見届けると、急いで楓家の玄関へ。
「銀次、鈴の下駄を調べるんだ。鼻緒も下駄の裏も丹念に見るんだぜ」
「へい、合点だ」
銀次が下駄の片足、片足を手に取って丹念に調べた。