恋猫

 「えぇっ、お鈴殺しの下手人を挙げに・・・。まさか・・・。鈴さまは私の前におられるじゃないですか」


 淳ノ介が腑に落ちない顔をした。


 「まだ、内密にしておりましたが、『越後屋』の娘 鈴は、昨日の夕暮れ時に、何者かに殺害されました。喉を噛み裂かれ、大量の失血による無残な最期でした」


 「ええええぇ―――ッ。鈴さまが殺害された。・・・またまた、大友さまはお戯れを・・・」


 淳ノ介はさっと顔色を変えた。が、まだまだ信じられないという様子。


 「お疑いでしたら、番屋にご遺体はまだ安置しておりますから、どうぞご覧になって下さいまし」

銀次が淳ノ介に。


 「鈴さまのご遺体が番屋に安置されている。・・・では、では・・・ここにおられる鈴さまは・・・」


 淳ノ介が鈴の顔をまじまじと見詰めた。
 化身した鈴は、沈黙のままずっと下を向いている。






 
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