恋猫
「美化、美化、美化・・・」
淳ノ介がいろいろ場所を変え、名前を呼んでも返答は無い。
「やっぱり美化はいないみたいだ。仕方がない。二匹だけ連れて行くしかないか」
淳ノ介は両腕に二匹の猫を抱き、元の部屋へ。
尚八郎が、目ざとく淳ノ介に抱かれた二匹の猫に目を留めた。
「後、一匹の猫はどうされたのですか」
尚八郎が鋭い質問を淳ノ介に浴びせた。
「大友さまの言われた通り、あと一匹はいませんでした」
「その猫は雌ですか」
「美化ですか。ええ、雌です」
「じゃ、そこにおられる鈴さまが、その雌猫にござりまする」
尚八郎が突飛な事を平然と述べた。