恋猫

 銀次は猫の不気味な鳴き声で我に帰った。


 「御用だ!」


 銀次に続いて尚八郎が真剣を抜いて身構えた。


 「神妙にお縄に付きやがれ」


 「御用だ」
 「御用だ~」


 十手で戦う銀次と、真剣で向う尚八郎が、鈴を二手から挟み込んだ。


 淳ノ介は、鈴の余りの変わりように付いて行けず、ただただ呆然と状況を見守るだけであった。


 「捕まってたまるものか」


 豹変した鈴は、とにかく身が軽い。ここと思えば、またあちら。あちらと思えば、またこちら。すばしっこく動き回る。






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