恋猫


 鈴がよろけるように歩き出した。



 よろよろよろよろ。



 すると、摩訶不思議、鈴はあっという間に美化に戻った。
 淳ノ介が美化を急いで抱き上げた。


 美化が淳ノ介の目をじぃっと熱く見詰めた。


 にゃお~。


 美化は、か細い声で鳴き声を上げた。


 「美化!」


 淳ノ介が美化の体を揺すると、美化は安らかに、安らかに、息を引き取った。


 「美化!」


 ううううっううう・・・。


 淳ノ介が人目も憚る事なく泣いた。涙が後から後から湧いて来た。
 淳ノ介は、心底悲しかった。





 
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