恋猫
尚八郎と銀次の二人は、この一部始終を瞬きもせずに見ていた。
「まるで、芝居を見るようだ」
尚八郎がぽつんと独り言を呟いた。
「その通りですぜ」
銀次は尚八郎の独り言が聞こえたのか、横から相槌を打った。
尚八郎と銀次は、美化の遺体を番屋に持ち帰るか迷ったが、猫ということもあり、放置する事にし、二人はそのまま番屋に帰った。
鈴事件が片付いたので、尚八郎は鈴の遺体を『越後屋』へ引き渡した。
越後二兵衛は、娘の変わり果てた姿を見て泣き崩れた。そして、鈴の遺体を丁重に埋葬した。
淳ノ介は美化の遺体を庭の片隅に埋葬した。そして、両手を合わせ、募る思いに涙を流した。