恋猫

 「淳ノ介さま、折角ここまで来たのです。篠は、篠は、淳ノ介さまと結ばれとうございます」


 篠が自分の意思をはっきりと伝えた。


 「えええええっ・・・結ばれる。今日、見合いの席で初めて会ったばかり。まだ、夫婦(めおと)にもなっていないのに・・・」


 豹変する篠を見て、淳ノ介は腰を抜かさんばかりに驚いた。


 「それ故、体だけでも、一刻でも早く夫婦(めおと)になりとうございます。私(わたくし)の願いは、可笑しいのでしょうか」


 篠が真剣な顔をして淳ノ介に迫った。


 「可笑しくはないのですが・・・」


 そう言いながら、淳ノ介は後ろに後退りした。



 「なら、抱いて下さいまし」



 篠が後退りする淳ノ介の懐に、行き成り跳び付いた。
 化身した篠は、元々が猫である。跳び付くのはお手の物。身の軽さは、化身しても変わっていない。

 



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