恋猫

 淳ノ介は篠を五谷家の屋敷まで無事送り届けた。

 「これで、ひと安心」

 淳ノ介は胸を撫で下ろし、自分の屋敷へと向った。


 「今宵は、度肝を抜くとびきりの経験をしたものだ」
 「女子(おなご)とは、所詮男には分からぬもの」


 「篠さまは、それにしても分からぬお人じゃ」


 淳ノ介は帰りの道々、独り言を呟いては歩き、歩いては首を傾げていた。そして、篠という女性を理解するのに苦しんでいた。


 篠は門を入った。
 篠が手の爪で腕を強く引っ掻いた。

 
 たらたらたらり。


 篠の腕から血が流れ出た。


 ぺろぺろぺろ。


 篠が腕の血を舐めた。



 ゆっくり、ゆっくりと、篠が歩く。


 一歩。


 二歩。


 三歩。


 四歩、五歩、と歩いた所で、篠は猫の美化にあっという間に戻った。





 
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