恋猫
淳ノ介は、なぜか胸騒ぎがした。
「もしや、篠さまは戻っていないのでは・・・」
そんな予感が、淳ノ介の胸を重く締め付けた。
(よくよく考えてみれば、あの時の篠さまは可笑しかった。いや、異常に可笑しかった。余りの事態の進展に動揺していたので、見過ごしてしまったが・・・。外観は篠さまなのだが、内面は人が違ったような。篠さまが無事屋敷にいてくれるといいのだが・・・)
淳ノ介は篠が屋敷に戻っているようにと、祈りたい心境だった。
美化は迷っていた。
篠の死体のある場所まで先導しようか、否か。
(もし、死体のある場所まで先導すれば、なぜ知っているのかと、あらぬ容疑を掛けられる)
(きっと、その内、死体は自分が教えなくとも、見つかるだろう。そうだ。そうに違いない)
美化はいろいろ思い巡らし、そうする事に決めた。
心が痛む。
(篠さま、勘弁してね)
美化は心で両手を合わせた。