恋猫

 「篠は、やはり屋敷にはおりませぬ」


 蔵乃進は肩を落とし沈んだ顔で淳ノ介に伝えた。


 (やっぱりだ!)


 (私の勘が当たった。私の危惧した通りになってしまった。なぜ?)


 淳ノ介の顔から、血に気が引いて行った。
 淳ノ介の父 淳ノ条、母 菊も門の所に出て来て、篠の安否を気遣った。


 「私も捜しますから、手分けして捜しましょう」


 淳ノ介が屋敷内から提灯の持って来て呟いた。

 「それが良い。それが良い。菊、私にも提灯を」

 淳ノ条も息子の呼びかけに応じた。

 「誠にかたじけない」


 蔵乃進が二人を見て礼を言った。
 三人は手分けして篠を捜す事になった。





 
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