恋猫
淳ノ介は、途中まで一緒だった蔵乃進に聞きたい事があった。
「五谷さま、確か篠さまは、扇子をお忘れになったのを思い出されましたね。それは、どの辺りでございますか」
淳ノ介が蔵乃進に質問をした。
「ここより、もう少し行った所だ。お主の屋敷と、私の屋敷のおおよそ中ほどだったと思うが」
「ありがとうございます。そこに来ましたら私にお教え下さいまし」
「あい、わかった」
蔵乃進が快く承諾した。
二人は、それから暫く歩いた。
「確か、この辺りだったと思う」
蔵乃進が辺りを見渡して。
「この辺りでございますか。もし、お宜しければ、私がここから、私の屋敷までを丹念に捜しまする。五谷さまは、ここから五谷さまのお屋敷辺りを丹念に捜していただいても、構いませんか」
淳ノ介が蔵乃進に言った。
「それは、構わんが」
「では、私はここから捜し始めまする」
「あい、わかった」
二人は、そこで別れ、それぞれの分担場所を探し始めた。