恋猫

 美化が鈴の着物を、じゃれて両手の爪で引っ掻いた。


 「あっ、猫ちゃん。美化というのね。ここに私を連れて来たのは・・・。この方に私を合わせる為だったの。ねえ、美化、そうなの。そうなのね。美化の意地悪」


 鈴はそう言うと、前以上に顔をぽ~と赤らめた。


 「私は楓淳ノ介と申します。美化が大変ご迷惑をお掛け致し誠に申し訳ございません」


 淳ノ介が鈴に深々と頭を下げた。


 「いいえ、とんでもございません。美化に遊んで頂いているのは、私でございます。礼をするのは、こちらの方でございます。本当にありがとうございます」


 鈴も深々と頭を下げた。
 二人が頭を上げたのは、同時だった。また、二人の目と目が合った。二人は熱く見詰め合った。そして、互いに微笑みあった。


 「美化、それでは、帰るぞ」

 淳ノ介が美化に言った。


 「あの~、これは・・・」


 鈴が瓦版を淳ノ介に手渡した。




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