恋猫
「あっ、そうでした。そうでした。すっかり忘れる所でした。ありがとうございます。では、これにて、失礼致します」
淳ノ介は、美化と連れ立って帰って行った。
鈴はその姿が通りから消えるまで、じっと見送っていた。
「淳ノ介さま・・・」
「淳ノ介さまと言われるのですね」
「美化、ありがとう。こんな素敵な人に引き合わせてもらって。本当に、本当に、ありがとう」
鈴は美化に心から礼を言った。
(それにしても、あのお方は、何て素敵な方なんでしょう)
(あの涼やかな目、あの甘い顔立ち)
(こんなに胸がきゅんとしたのは、生まれて初めてだわ)
鈴は淳ノ介の顔を思い浮べると、また顔がぽ~と赤くなった。そして、今度、美化が遊びに来たら、思い切り可愛がって上げよう、と決心していた。