恋猫

 「あっ、そうでした。そうでした。すっかり忘れる所でした。ありがとうございます。では、これにて、失礼致します」


 淳ノ介は、美化と連れ立って帰って行った。
 鈴はその姿が通りから消えるまで、じっと見送っていた。

 「淳ノ介さま・・・」

 「淳ノ介さまと言われるのですね」

 
 「美化、ありがとう。こんな素敵な人に引き合わせてもらって。本当に、本当に、ありがとう」


 鈴は美化に心から礼を言った。


 (それにしても、あのお方は、何て素敵な方なんでしょう)


 (あの涼やかな目、あの甘い顔立ち)


 (こんなに胸がきゅんとしたのは、生まれて初めてだわ)


 鈴は淳ノ介の顔を思い浮べると、また顔がぽ~と赤くなった。そして、今度、美化が遊びに来たら、思い切り可愛がって上げよう、と決心していた。






 
< 91 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop