マスカレードに誘われて

廊下を走る。
まだ距離はあるが、徐々に縮められてきている気がする。

早く、もっと早く走らねば。

隣にいるイヴに目を向ける。
既に、息が上がりつつある。
大丈夫かと問いたいが、今は自分の事で手一杯である。

この廊下の角を曲がれば、回廊に着く。
それだけを考え、足を動かした。

角を曲がり、回廊の入り口に辿り着く。
外に繋がっているせいで、回廊には扉がついている。

ロイは、急いで戸を引いた。

「あ、あれ?」

扉はびくともしない。
試しに戸を押すも、動く様子は無かった。

「どうしたの?」

「扉が開かない!」

「えっ!?」

扉と格闘するロイ。
イヴはちらりと後ろを向いた。

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