マスカレードに誘われて
すぐそこまで鎧が近付いてきている。
奴等の持っている剣が、月明かりを受けて不気味に煌めいた。
「開かないなら諦めて、近くの部屋に逃げ込みましょう!」
「でも、そんなことしたら袋小路になっちゃうよ!」
「それでもいい!わたしも戦うから!」
ロイは躍起になって、扉を蹴破ろうとした。
しかし、それでも扉は動かない。
二人を意地でも通そうとしない。
「ロイ!早くしないと!」
イヴの声に、焦りの色が見え始める。
彼女は鎧とロイを交互に見ては、彼のマントを引っ張る。
やはり、ここから離れた方がいいだろう。
部屋を繋ぐ回廊も、扉が開かなければ単なる行き止まりに過ぎない。
ロイが後ろを向いたその時。
「ロイ様!イヴ様!」