マスカレードに誘われて

すぐそこまで鎧が近付いてきている。
奴等の持っている剣が、月明かりを受けて不気味に煌めいた。

「開かないなら諦めて、近くの部屋に逃げ込みましょう!」

「でも、そんなことしたら袋小路になっちゃうよ!」

「それでもいい!わたしも戦うから!」

ロイは躍起になって、扉を蹴破ろうとした。
しかし、それでも扉は動かない。
二人を意地でも通そうとしない。

「ロイ!早くしないと!」

イヴの声に、焦りの色が見え始める。
彼女は鎧とロイを交互に見ては、彼のマントを引っ張る。

やはり、ここから離れた方がいいだろう。
部屋を繋ぐ回廊も、扉が開かなければ単なる行き止まりに過ぎない。

ロイが後ろを向いたその時。

「ロイ様!イヴ様!」

< 64 / 164 >

この作品をシェア

pagetop