マスカレードに誘われて

どこからともなく、息を切らしたキースがこちらに向かって駆けてきた。

「キース!!」

二人が声をあげる。
キースの手には、二つの剣。
ロイにとって、それらはよく見知ったものだった。

キースは二人の前まで来ると、息を整えて頭を下げた。

「申し訳ございません。遅くなってしまいました」

「いやいや!悠長に頭下げてる場合じゃないって!」

ロイが焦ったように後ろを指差す。
鎧が近い。
三メートルも離れていないだろう。

キースは持っていた剣を、一つロイに渡す。

「今宵に限り、ここの回廊は通ることができません」

「何で!?」

「それには、少々諸事情が……」

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