マスカレードに誘われて

鎧は再び歩み始める。
イヴも鎧に向かって歩き出した。

紫色の靴が、赤い絨毯を踏む。
二人が歩み寄るまでたった数十秒の事だったが、ひどく時間が掛かった気がした。

そして、二人の足が止まる。
イヴは、鎧を見上げた。

『お主、かの者の声を聞いたのか?』

彼女の耳に届いてくる、低い声。
恐らく、鎧から発せられているものだろう。

『もう一度問おう。かの者の声を聞いたのか?』

「……聞いたわ」

ゆっくりと返事をする。
鎧は僅かに反応を示し、体を揺すった。

それを傍観するロイとキース。

「何が起きてるんだろう?」

「私にもさっぱり……」

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