The world is changed story
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バタバタとメイドさん達がやってきて、
服やら何やらいろいろと用意してくれて、
愛想のいい笑顔を私に向けてくれた。
そしてメイドさんに続いて、
「じゃあ、ごゆっくり」と言って3人も出て行ってしまった。
…、こんなに簡単に部外者を王城に泊めてもいいのだろうか。
お城の仕組みとか、いろいろはよくわからないけど、
私でもきっとこんな簡単に人は泊めない、はず。
「うーん…。」
でも、なんか、悪い気は、しない。
「デイムさん、入ってもいいですか?」
軽く扉を叩く音と同時に、あの綺麗な声が聞こえてくる。
リュンヌさんって、確か王子の側近。
「どうぞ。」
猫背になっていた背が自然と伸び、
だらしなく深く座り込んでいた椅子から突き上げられるように立ち上がる。
慌てて立ち上がり、脚についている玉が音を鳴らしたと同時に、
客間の扉が静かに開いた。
「さっきはあわただしくてごめんなさい、入浴は済みました?」
少し気の強そうな印象を与える二重の吊り目が優しく細まる。
微妙に口角が上がっているだけの微笑みなのに、
何故か心がふわ、ってした。