The world is changed story
魔法が使えるようになってからかな。
人の本質みたいなものがなんとなく感じられるようになった。
表面上は笑顔でも、なんとなく嫌なものが伝わってきたり。
私が人と関わるのを避けた理由は、それもあるかもしれない。
でも、リュンヌさんは悪い人じゃない。
むしろとても優しい人だ。
そう思った。
「入浴は、まだです。」
首を少し捻って立っているだけなのに、
とても絵になる人。
「この部屋はバスルームも王子の自慢なんです。
もちろん私の自慢でもありますが。
好きに使ってもらってかまわないので、後でのぞいてみてくださいね。」
そう言ってリュンヌさんはもう一度優しい笑みを浮かべた。
全然リュンヌさんの事を知らなくて、
きっと相手も私の事をあまり知らない。
緊張してるのに、落ち着いて話すことができる。
とても久しぶりの感覚を今日はたくさん体験した。
「ありがとうございます。」
ヘラリと、その字の通りヘラリと私は笑った。
「ちょっとだけ、質問してもいいですか?」
部屋の真ん中にある柔らかいソファーに向かい合って座って、
リュンヌさんは口を開いた。