The world is changed story
「でも、私、ただの剣士ですよ、いいんですか?」
少し自傷じみた笑みを浮かべながら手をわたわたとさせる。
なんか自分少し挙動不審すぎる。
「ご謙遜を。王子は中々人をほめたがらないんです。
その王子がほめていたんだから、あながち嘘ではないはずですよ。」
あの人、が。
私をほめてくれていたんだ。
嬉しいような、恥ずかしいような気持ちが湧く。
「では、機会があれば。」
さっきの作り笑顔とかじゃなくて、
ほんとに、ちゃんと自然の笑顔。
「その表情のほうが素敵ですよ。
せっかく整ったお顔をしているんですから。」
見惚れてしまうほどの笑顔を受け、
顔の温度が上がるのがわかる。
あなたの方がお綺麗です、とても…。
褒めつくしの言葉が喉から出そうになるのを飲み込んで、
ありがとう、と笑顔を返した。
「では、そろそろ私は失礼しますね。」
そう言って立ち上がったリュンヌさんを見送り、
私は扉を静かに閉めた。