The world is changed story
はぁ、と呼吸を整え、私は男の子の方に振り返った。
腰には剣、
けれど蒼い草の麻痺症状が両手に出ていた。
腰に下がってる剣は片手剣だけど、
両手が使えないんじゃ何もできなくて当然。
きっと逃げるしかなかったんだろう。
でも、敵に背中を向けるのはかなり危険。
剣士なら誰もが知ってる教え。
攻撃をよけることしかできなかったのか、
頬や手には少し血がにじんでいる。
「すまない。助かった。」
舐めるように彼の全身を見ていた私に、彼は声をかけた。
でも手は相変わらず動かないようで。
「あ、これ、どうぞ。」
もっと早く麻痺治してあげればよかった、と思いながら、
腰にまわしたベルトにつながる袋から麻痺回復のストーンを取り出す。
そしてそれを短刀で砕き、手の上に振りかける。
「ありがとう。」
一応回復魔法で治した方が効きは良いんだけど、
魔法が使える事を知られたくないからストーン回復…。
あまり人とかかわるのは好きじゃないから、
今日は人助けをした、っていう良い思い出とともに早く帰ろう。