似非恋愛 +えせらぶ+


 それに、休みの日に一緒に実家に帰ってきた私達を見て、両親はいったいなんと言うだろうか……。
 結婚を急かすような両親じゃないけれど、でも、幼いころから一緒にいた私達だからこそ期待させてしまうかもしれない。

 私達は、偽物の恋愛関係だというのに。


「香璃」
「……」
「何、思い悩んでる?」

 斗真に真っ直ぐ見つめられて、心の底まで見透かされているような気持ちになる。
 いっそのこと、全部ばれてしまえばいいのかとも思った。

 そうしたら、説明しなくて済むというのに。

「向こうに帰ったとき……私達の関係はなんなのかな……?」

 私は斗真を見つめ返した。

「幼馴染で、いられるかな」
「……無理かもな」

 斗真が真剣な顔で私を見つめる。

 無理――……その、言葉の意味を教えて欲しい。
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