似非恋愛 +えせらぶ+
「おいおい、香璃?」
さすがに、酔いが回りふらつく私の身体を、斗真が支えた。
「香璃さん、私そろそろ終電なのですが……」
困ったようにみあが言う。
その言葉が遠い。
「そうね、もう、帰りましょう……」
お会計を済ませようと立ち上がろうとした私の視界が、ぐらりと揺れる。
「おいおい、香璃、飲みすぎだろ」
「斗真に、言われたく、ない」
駄目だ、もう、駄目……。
「どうしよう……」
心配するみあの声が遠くて……。
「俺が連れて帰るよ」
「でも」
私の意識は途絶えた。