似非恋愛 +えせらぶ+

「綺麗になったな、お前」

 ずるい。

「ほんと、綺麗になった」
「大人になったのよ。もう、斗真の知ってる私じゃない」

 何も知らなかった高校生の頃とは違う。
 化粧も覚えた。おしゃれも覚えた。仕事も覚えた。男だって、覚えた。イロコイも、覚えたの。

「もうすぐ、30だもの。おばさんって呼ばれる年齢よ」

 ため息が、一緒に漏れる。

「仕事ばっかり。そんなんで一緒に住んでた男にも振られて……結婚も、もう無理かもね」
「俺だって30だけど」

 斗真が茶化すように言う。

「男は30から、でしょ」

 女の30と、男の30は全然違う。

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