似非恋愛 +えせらぶ+
「みあに、どこまで聞いていますか?」
「貴方に一目ぼれをして、ずっと好きで、友達になって……友達以上の関係になって、辛くなって決別したのに、再会したということは」
私の解答に、氷田君は困ったように頬を掻いた。
「参ったな、全部知られてるんですね」
私は、改めてまじまじと氷田君を見た。少し茶色がかった柔らかそうな髪に、灰色の瞳。とても優しそうな顔をしている。
そして氷田君はおもむろに口を開いた。
「みあのこと、ずっと、ずっと好きです。大学時代の俺を殺したいくらいに」
呪詛を吐くように告げられた熱い想いに、私はたじろぐ。まさか、彼がこんなにも強い想いを抱いているとは、思ってもみなかった。いや、気づかなかった。
「なんで……大学の時に、みあと付き合わなかったの? その……彼女と別れて」
私の問いに、氷田君は自嘲気味に笑った。
「甘えていたんですよ、みあに」
後悔していることがうかがえる、低い声だった。
「そして、どこかでうぬぼれてた」
「うぬぼれ?」
「そうです。みあはずっと俺の傍にいるって」
氷田君は肩をすくめた。
でも実際は、みあは耐えられなくなり、氷田君の目の前から姿を消した。
そのとき、氷田君はいったい何を感じたんだろう。
「大馬鹿ですよね」
「……本当ね」
思わずうなずくと、氷田君は苦笑する。