似非恋愛 +えせらぶ+
「酷いですね……」
「でも、本当のことじゃない」
「そうですね」
氷田君は、馬鹿だ。大学時代に、みあと氷田君が過ごしたその時代に決断していれば、今、こんなふうにこじれた関係になることもなかっただろうに。
まあ、私みたいな人間に、馬鹿だなんて思われたくはないだろうけど。
「……でも、みあは貴方の傍からいなくなった」
「最初は、理解できなかったんです。みあがいなくなったという事実を受け入れられなかった。突然連絡が取れなくなって、メールも返ってくるし、すでにみあの部屋は解約されて誰もいなかった。
そして、みあから手紙が届いたんです」
「手紙……」
そうだ、みあも言っていた。一通の手紙を残して決別したと。
「何が書いてあったの、その手紙には」
「……みあの気持ちが綴られていました。俺への感情、みあが感じていたこと……謝罪。便箋にね、ところどころ濡れた後が残っていたんです。みあは、泣きながら手紙を書いていたんですよね……」
涙の痕の残る便箋、そこに綴られたみあの想い……。