似非恋愛 +えせらぶ+

 私の知っている小城君は、金髪のツーブロックで、カラコンを入れたド派手な男の子だ。敬遠していてあまり話したことはなかったし、学部は違ったけど、同期だったので名前くらいは知っていた。
 目の前にいる黒髪メガネの優しげな男性とまったく一致しない。

「えっと、でも、見た目変わりすぎててわからなかった……」
「いや、まあ、俺も大人になったということなんですけど……いや、驚いた。篠塚さん、凄い綺麗になったね」
「小城さん、職場でお客様をナンパしないでください」

 すかさず担当をしてくれている人が胡乱げに小城君を見て注意をする。小城君は肩をすくめた。

「ごめんごめん、でも大学の同期に久しぶりに会ったら、声かけちゃうでしょ」

 言いながら、小城君がプリントアウトされた物件情報を手に取る。

「やのっち、ここは俺がやるよ。担当変わってもいいよね、篠塚さん?」
「えっと……私はいいけど……」

 きちんと物件を紹介してもらえるのなら、担当は誰でもいい。

「……仕方ないですねぇ」

 やのっち、と呼ばれた担当の人は席を外して、そこに小城君が座った。資料に目を通しながら、何やら頷いている。

「今住んでるところは、どんなところ?」
「2LDKなんだけど、ちょっと広すぎるから、1LDKくらいの部屋にしようかなと思って」

 ちらっと、小城君が私を伺った。
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