似非恋愛 +えせらぶ+
「……もしかして、同棲していた彼氏と別れた?」
「……訊きにくいことを、ずばっと訊くのね……まあ、そうよ」
その割に、まったく嫌味っぽくなくて不思議だ。
何を考えているかよくわからない感じだけど、全然嫌味じゃない。
「ふむふむ、なるほど、この物件とか結構おすすめ。ここもわりといいと思う。何件か内見の予定入れる?」
「お願いできる?」
「任せて」
小城君が意味ありげににこっと笑う。
「何?」
「うん、篠塚さん、早く次の物件決めたいだろうなって思って」
確かに、できればなるべく早く引っ越したい。少し迷っていた気持ちも、こうして実際に不動産屋で新しい物件を探したら、引っ越したい気持ちの方が強くなった。
「連絡してくれれば、いつでも融通するよ」
「そんな……」
「いいの、いいの。同じ大学のよしみ。連絡はメールでいい?」
ただサークルが同じだっただけで、親しかったわけでもない。それなのに、融通してもらえるだなんて、ちょっと気が引けた。
「あの、小城君、本当に普通の接客でいいから……」
「うん、大丈夫だから」
にこにこ笑っている小城君だけど、本当に伝わっているんだろうか……。
「篠塚さん、さっそく明日はどう? 仕事終わりでも大丈夫だけど」
「平日だと何時頃まで大丈夫なの?」
「21時くらいからのスタートでも大丈夫だよ」
小城君がスケジュール帳を見ながら答える。