似非恋愛 +えせらぶ+
あれは斗真の返答を拒否した、一方的な告白だった。正直、斗真がどう思っているのかを知るのが怖い。
今の私達は、疑似的に付き合っているふりをしている。その私が、昔斗真のことを好きだったと告げたのだ。斗真が何かしら私に気兼ねする可能性だってある。
私達の慰めの関係はいつまで続くんだろうか。
今の私もきっと、斗真のことが好きなんだと思う。ただ、それが、真治にふられたことで傷ついていた私が、優しくされて幻想を抱いた可能性も捨てきれない。
それに、昔の想いを引きずっていただけなのかもしれない。
本当は……どう思っているんだろう。
そんなことを考えながらぼんやりしていると、後ろから肩を叩かれた。びくっと驚いて、振り返ると斗真がいた。
「驚きすぎ」
「突然肩を叩かれたら誰でも驚くわよ」
文句を言うと、斗真は笑って私の正面に座り、持っていたコーヒーを置いた。
「突然、どうしたの?」
「香璃に会いたくなったから」
斗真の言葉に、心臓が反応する。いったい、斗真は何を考えているんだろうか。
「会いたくなったって、彼女じゃないんだから……」
「まあ、香璃だし」
斗真は、彼女じゃないという私の言葉を、否定しなかった。
彼女でもないのに、こうして私に会いに来る斗真の本心がわからない。
「不動産屋って、香璃、引っ越すのか?」
「ええ、今のところを出たくて」
私の気持ちをよそに、斗真の様子は普通だった。
「良いところはあったか?」
「うん、何件か見せてもらう予定なの。そういえば、担当してくれた人がね、大学で同じサークルだった人だったの」
担当してくれた、というよりも、無理やり担当になったというのがふさわしいかもしれない小城君の行動を思い出し、私は思わず微笑んだ。