似非恋愛 +えせらぶ+
「この前、氷田君と飲んだよ」
「珍しい組み合わせだな」
人ごみを歩きながら、ショッピングモールに向かう。
「うん、氷田君と話してみたかったの」
「お前、人の色恋に……」
「うん、余計なお世話なんだろうけど、でも純粋に氷田君がどういう人なのか知りたかったの」
斗真の呆れたような言葉を遮って、私は言った。強引だったことも、余計なお世話だったことも自覚している。
「で、あいつ、どうだった?」
「良い子ね。可哀そうなくらい」
間違いを犯してしまった自分を責めるかのように一途にみあのことを思う彼は、可哀そうなくらい良い人だった。
「そっか」
「うん」
それ以上は、何も言わなかった。斗真も訊かなかった。そして、近くのショッピングモールにやってきた。
「なんか久しぶりにこういうところ来た」
いかんせん、人ごみが苦手なもので、滅多にこういう場所は来なかったのだ。斗真ももの珍しそうに館内図を見ている。