似非恋愛 +えせらぶ+
「ガキん時から一緒にいたしな、家族みたいなもんだった。由宇も、お前も」
斗真はそう言って気障ったらしく笑った。そんな斗真に、私は唇を尖らせる。
「家族、ね。その家族に何も言わずにいなくなるんだもの」
「なんだ、寂しかったのか?」
「寂しかったわよ」
好きだったから。
私だって家族だと思っていたから。
突然、斗真がいなくなって寂しかった。
私の素直な告白に、斗真は驚いたように目を見張った。
「お前……」
「何?」
斗真は困ったように襟足の部分を掻いた。
「いや、お前、変わったな」
「大人になったのよ」
自分では変わっていないと思っていても、何かが少しずつ変わっていっている。それが年を重ねるということなんだと、古い友人と再会するときにいつも実感する。
「斗真だって変わったでしょ」
「そうだな」