似非恋愛 +えせらぶ+
『そっか。俺、もう会社出たから、そっち向かうわ。20分くらいで着く』
「わかった。今から準備する。ごめんなさい」
私はすぐに電話を切って、デスクに戻った。メールを確認し、緊急のタスクがないことを確認する。そして、ふと隣の島田を見た。
「島田、今日の進捗はどう?」
「あ、はい、えっと、問題ないです」
「本当ね? あとで駄目でしたはなしよ?」
スマホを片手に戻ってきた私と島田のやりとりを見ていたのか、みあが口を開いた。
「香璃さん、用事があるんですか?」
「え、ええ、ちょっとね」
私は一瞬、スマホに視線を落とす。大丈夫、まだ時間はある。
そんな私の様子を見かねたのか、みあが笑顔で言葉を続けた。
「それでしたら、何かあったら私がフォローするので、安心してください。それに、さっきも話をしていたんですけど、島田君大丈夫そうだったので」
さすがみあだ。しっかりしている。島田の事はちょっと心配だが、みあに任せていれば安心だろう。