似非恋愛 +えせらぶ+
「そう、それならお願いできる? 悪いわね。2人とも、なるべく早く帰るのよ」
すると、みあに憧れているのが周りに丸わかりの島田が、焦ったように言う。
「大丈夫です、篠塚さん、俺もうすぐ今日の分終わるんで!」
その様子があまりに可愛くて、あんまりいじめるのも可哀そうで、思わず笑ってしまった。
「わかった、わかった。じゃあ、島田もみあも、お願いね」
「はい。お疲れ様でした」
私はすぐにラップトップの電源を落として、ロッカーにしまう。鍵をかけたことを確認し、オフィスを後にした。
時間はすでに、電話で斗真と話をしてから二十分強が経っている。
足早にエレベーターを降りてエントランスを出ると、正面にスマホを覗き込む斗真の姿があった。