似非恋愛 +えせらぶ+

「ん、どうした?」

 深いため息をついた私に気付いたのか、斗真が訊ねた。

「なんでもないわ……」
「ふうん?」

 目的の階について、エレベーターを降りた。

 部屋について、斗真が電気をつける。その瞬間、急に現実が襲ってくる。

「本当に、今日はごめんね、いきなり」
「いいって。楽にしてていいから」

 謝る私に、斗真は答えながら、奥の部屋に消えた。それを見届けた私はリビングにあったソファに腰かけた。
 ため息をつきながらスマホを確認してみると、また真治からメールが来ていた。

【返事待ってる】

 私はスマホを閉じて無造作に鞄に押し込んだ。その様子を、部屋から普段着に着替えた斗真が見ていた。そして、私の隣に座る。

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