似非恋愛 +えせらぶ+
「元彼か?」
斗真の言葉に、私は隠すのをやめた。どうせ、斗真に慰めてもらうためにここに来たのだから。
「……わかる?」
「そりゃあな」
私は惨めな気持ちが抑えられず、両手で顔を覆った。
「馬鹿よね。メールの1通や2通で、こんなに揺れるなんて……」
ため息をつく私の肩を、斗真が抱いた。その温もりが優しくて、涙が出そうになった。
「スマホ貸せ」
「え?」
「いいから」
私は訝しげに思いながらもロックを解除して、スマホを斗真に手渡した。
「名前」
「え?」
器用にスマホを操作しながら、斗真が訊いてくる。